研究課題/領域番号 |
10470264
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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研究分担者 |
鈴木 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20199334)
池田 英之 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (40301494)
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20204878)
北島 政樹 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90112672)
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キーワード | 腫瘍抗原 / SEREX法 / 抗体 / T細胞 / 膵臓癌 / 食道癌 / 大腸癌 / 悪性黒色腫 |
研究概要 |
本研究では、癌患者血清を用いて単離するcDNA発現クローニング法(SEREX法)による消化器癌抗原の単離を試みた。平成11年度は、前年度の癌抗原スクリーニングを継続するとともに、個々の単離抗原において、癌の診断・治療への臨床応用の可能性を検討するために、多数の健常者と各種癌患者血清による認識の有無と、正常と各種癌組織での発現をRT-PCR法とノーザン法により調べた。免疫反応が起こりやすいメラノーマ検体を用いてのクローニングにより、メラノーマだけでなく、腺癌や扁平上皮癌など様々な消化器癌に発現し、癌患者に抗体反応をおこす新規癌抗原KU-MEL1を単離した。次に消化器癌(膵癌と食道癌と大腸癌)患者の検体を用いて、癌抗原の単離を試みた。膵癌では5人の患者血清を用いて13個の既知遺伝子と7個の機能不明遺伝子を単離・同定した。そのうち、KU-PAN1は、膵癌患者血清に抗体が認められたが、健常人血清には認められず、RT-PCR法とノーザン法で解析したところ、膵癌細胞株と膵癌組織および乳癌・大腸癌細胞株にも発現がみられたが、正常組織では精巣などの限局した組織だけに発現が認められた。食道癌では2人の患者血清を用いて検索を進めたが、すでにT細胞の標的抗原になることが判明しているCancer-testis抗原MAGE-4が単離された。大腸癌では1人の患者血清でスクリーニングを行い、大腸癌患者には抗体が検出されるが、健常人血清には認められない分子としてEIF4GとAHNAK nucleoproteinを同定した。また、膀胱癌で単離したecalectin相同分子は、膀胱癌だけでなく、食道癌などの多くの消化器癌患者血清中にIgG抗体が検出されたが、健常人では検出されなかった。これらの新規同定癌抗原は消化器癌の診断や治療に応用できる可能性がある。
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