研究概要 |
肺移植における拒絶反応早期診断の新しい手法として気管支鏡下末梢擦過法の検討を試みた.現在,臨床肺移植における拒絶反応診断には,経気管支的な肺生検がgold standardとして広く用いられているが,TBLBは気胸,気道内出血などの合併症も報告されており検査の侵襲が大きく,また体格の小さい小児例では実施は困難である.気管支末梢擦過法は通常の肺生検に用いる気管支鏡よりも細径の気管支鏡でも実施できることより小児例にも適応可能である. 初年度である今年は肺移植実験の前段階として,細径気管支鏡を用いて末梢擦過法の実施可能性について検討した.ニホンザルに硫酸アトロピン及び塩酸ケタミンの筋肉内注射により麻酔を行い,気管チューブを挿管後に気管支鏡検査を行った.気管支鏡を下葉気管支末梢に挿入しブラシを用いて気管支末梢擦過を行った.採取した検体はスライドグラスに直接塗布して染色後に400倍で検鏡して細胞分画を測定した.細胞分画は,気管支上皮が90-95%を占め,リンパ球が3-6%,多核白血球が1-2%観察された.しかしスライドグラスに直接塗布する方法では粘液の混入があるため,粘液を除去する方法を検討中である.またリンパ球の分画についてもCD3,CD8などについて免疫染色を検討中である.
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