研究概要 |
気管支鏡下気管支擦過法による肺移植拒絶反応診断の可能性について検討を行った. 移植後急性期には虚血再灌流傷害に起因する気管支上皮の脱落と炎症所見が観察され、動物実験により検討を行った移植後急性期では、拒絶反応以外の影響が大きく本法による診断は限界のあることが明かとなった.臨床において拒絶反応診断がTBLBによってなされている移植後遠隔期においては気管支鏡下気管支擦過法が有用である可能性があり,今後,臨床肺移植症例において検討を行って行く予定である. 本研究の過程で,新たな移植後早期の拒絶反応診断方法として気管支粘膜血流測定法が有望な方法として浮かび上がってきた.気管支粘膜血流測定法による拒絶反応診断に関しては,これまで動物実験による報告が数報あり,拒絶反応に伴い血流量の減少することが報告されている.しかし,移植後急性期における気管支粘膜血流の測定及び臨床応用された報告はこれまで無かった.サルによる動物実験は小型動物であるため施行できないため,当施設で実施した4例の臨床肺移植症例において,移植直後から経時的に気管支粘膜血流測定を実施して,本法の有用性について検討を行った. 現在まで測定を施行した症例数は少ないものの,これまで臨床所見(血液ガス,胸部X線写真,症状など)のみに基づいて診断が行われていた移植後急性期の拒絶反応診断に有用な手法となり得ることが明かとなってきている.今後,症例数を重ねて検討を行って行く予定である.
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