研究概要 |
心房細動を有する心疾患患者の開心術において心表面マッピングを行い,心房細動を起こしている早期心房興奮部位や心房興奮の規則性についての検索を詳細に行い,また伝導遅延を来している心房の部位を特定することで心房細動の原因や維持を司る心房筋の部位を探った.そして,基礎疾患,病悩期間,左房径などの違いにより心房筋の電気生理学的特徴に差異があるかどうかを調べた. 具体的には,多点心表面マッピング電極(旧来のものおよび新規に導入したもの)を新規に導入したマッピングシステム(NEC多点マッピング装置一式)およびフクダ電子社製マッピング解析システム(HPM7100)に接続し,左右心房自由壁から記録された永続的心房細動中の心房興奮波を解析することによってその起源と規則性を調べた.また,従来から用いてきたカテーテル電極も併用して肺静脈入口部近位部付近や僧帽弁輪を中心としたマッピングも同時に行い,これまでのデータと併せて追加検討を行った.また,電位の解析に際しては,新規に開発導入したスペクトル解析(FFT)による波形規則性の定量化法を応用し,規則性の可視化を行って検討した.(結果の検討から,肺静脈近位部を含む左房自由壁から後壁にかけてに起源となりうる規則性が存在.)あわせて,経食道心エコー検査により左房径や肺静脈口入口部間の距離を測定し,電気生理学的所見との関連を検討した. これらの検討の結果から,より低侵襲な術式として4つの肺静脈入口部を手術的に隔離する肺静脈口隔離術の妥当性が明らかとなったが,この術式の心房細動消失効果と電気生理学的因子との検討を行うことにより,術式の有用性と手術効果に関与する因子の検討も行った.
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