研究課題/領域番号 |
10470280
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
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研究分担者 |
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
中村 真人 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (90301803)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
築谷 朋典 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00311449)
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キーワード | 人工循環 / 無拍動流循環 / 循環調節 / 血管トーヌス / 血管収縮性 / 自律神経 / 末梢循環 / 時間医学 |
研究概要 |
機械的人工循環法としての中長期に渡る無拍動流循環が生体の機能と構造に及ぼす影響を、覚醒下の慢性実験動物を用いて拍動流循環動物と対比して基礎的に研究した。特に体循環について、無拍動流や脈圧の低下した状態の持続による影響が蓄積された病態について検討した。体重40〜60kgの成山羊に対して拍動流左心バイパス(PLHB)を作成し、術後2週間目に遠心ポンプに交換し、以降4週間定常流左心バイパス(NLHB)を維持した。いずれの検討においてもNLHB時の脈圧はPLHB時に比較し有意に減少したが、平均大動脈圧、平均灌流量は有意差を認めなかった。1.循環動態及びその調節系の検討:定常流左心補助循環施行に伴い、体血管抵抗はわずかな低下傾向を示したが、他の血行動態、末梢組織循環、組織代謝、液性調節因子のいずれにおいても拍動の有無で差を認めなかった。全身各臓器の血流分布比にも変化を認めなかった。一方、心拍変動解析法による間接的な自律神経の活動性の検討により、NLHBの施行に伴う副交感神経の活動性の上昇が認められた。2.血管系のトーヌス、収縮性、自律神経による調節系の検討:NLHBの施行に伴い、形態的には大動脈壁の壁厚の減少や膜平滑筋細胞の萎縮が観察されているが、さらにノルアドレナリン、ニトログリセリン負荷を行ってその機能面について検討したところ、血管系のトーヌスには変化をきたさないが、その収縮性に減弱が認められた。しかし、心拍変動解析法による間接的な自律神経の反応性の検討では拍動の有無で差を認めなかった。3.末梢循環に関する検討:末梢循環はサーモグラフィ、レーザドップラー組織血流計を用いて検討したところNLHB中にもPLHB同様に維持されていた。血流波形の解析からvasomotionが観察され、NLHB中にも自律的な血流調節機構が維持されていることが示唆された。4.時間医学的検討:体温のサーカディアンリズム(CR)は、その周期、位相、振幅ともPLHB、NLHBを通して維持され、中枢神経におけるCR発生、環境同調機能、体温調節に関連する種々の調節機能はNLHBに影響を受けないことが示唆された。
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