研究分担者 |
北村 惣一郎 国立循環器病センター, 副院長 (10028607)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
宮武 邦夫 国立循環器病センター研究所, 心臓内科, 部長
駒村 和雄 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (90311448)
笹子 佳門 国立循環器病センター研究所, 心臓外科, 医長
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研究概要 |
心臓移植の適応と考えられる心筋症6例(17〜49歳)に対し,内科的治療の限界と判断された段階で左心補助人工心臓(LVAS)を適用した.LVASは,左房∇上行大動脈間に装着し,血液ポンプを体外に設置した.全身状熊の改善後,積極的にリハビリを行った.自己心機能は,適宜心エコー法により検討した.全例LVAS装着後,循環動態は安定し,ポンプ流量は4〜5L/分であった.2例においては,左室拡張末期径は著明に縮小し,僧帽弁逆流も減少した.3ヵ月の補助後LVASより離脱しえた.この2例は離脱後2〜4年を経過するが,心機能は良好に維持され通常の日常生活を営んでおり,外来で経過観察中である.また,運動耐容能の検査においても,離脱後Peak VO2は25ml/min/kg以上を示した.他の4例では,循環動態安定後も左室径は変化せず,内3例はLVASより離脱し得なかった.他の1例は5ヵ月後脳出血治療のため離脱した.この1例では離脱後,カテコラミんからも離脱し得るところまで心機能の改善をみたが,感染を契機に死亡した.心筋細胞の変化をみると,細胞径の縮小を認めたが,パーセント繊維化率は変化しなかった.現在のところ,若年者で病悩期間の短い症例が離脱しえており,病理学的に施行前における離脱可能性の予測について検討中である.さらに最近新たに1例の離脱例を経験しているが,この症例においては左室径は変化せず,βブロッカーにより心拍数を減少させることにより離脱可能となった.現在LVAS施行中における併用療法の効果について検討を進めている.
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