研究概要 |
心臓移植の適応と考えられる60歳以下の心筋症35例(拡張型心筋症30例,虚血性心筋症4例,拡張相肥大型心筋症1例,8〜57(平均34)歳)に対し,従来の内科的あるいは外科的治療の限界と判断した段階で国循型体外設置型左心補助人工心臓(LVAS)を適用した.内5例は右心不全も高度で右心補助人工心臓を追加した.LVASのみを施行した30例中初期10例は左房脱血方式(LA)を,また最近の20例には左室脱血方式(LV)を用いた.平均補助期間はLA165日に対し,LV367(施行中8例を含む)であった.全例LVAS装着後,循環動態は安定したが,全身状態の改善後,積極的にリハビリを行うとともに,βブロッカー,ACE阻害剤などの薬物治療を併用した.自己心機能は,適宜心エコー法により検討し,回復を認める症例では離脱を試みた.LA10例のうち若年者3例は著明な心機能の改善を認め,3〜5ヶ月の補助後離脱し,離脱後2.5〜6.8年後の現在外来にて内科的治療を行いながら経過観察中である.LV20例中自己心の回復傾向を認めたのは4例のみで,1例では,離脱を行ったが,直後に再度心不全となり,LVAS再装着を必要とした.また,7例(LA:2,LV:5)は平均330日後に心臓移植が行われたが,自己心の荒廃は高度であった.現在,脱血部位(LA,LV)の差による心機能への影響および自己心機能の判定法について検討を進めている.
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