研究概要 |
本年度はneurofibromatosis type2(NF2)遺伝子およびPTEN遺伝子についてstop codon assayを開発し,それらassay法の臨床サンプルでのテストにより以下のような新知見を得て,近く誌上発表の予定である. 1) 両assay法とも被検遺伝子産物をPCR増幅cDNAを酵母/大腸菌シャトル発現ベクターに相同組換えで組み入れ,ADE2蛋白とのキメラ蛋白として発現させ,被検遺伝子cDNA内にnonsenese変異がある場合に,ADE2以前に翻訳が停止し,酵母コロニーが赤色となるassay法として完成,assayのテストでも線形性,感度の点で満足な結果を得た. 2) NF2 stop codon assayをschwannoma,ependymoma,meningiomaなどに応用し,高い変異検出率を得た.検出された変異の中にはexon skippingが多く含まれており,従来の方法で見逃されていた変異の重要な形としてのabberant splicingが明らかになった. 3) PTEN stop codon assayでのCowden病でのgermline変異を正しく検出することができ,Gradc I〜IVの星細胞腫に本assayを応用することによりglioblastomaにおいて高い変異検出をみた.また,赤色と白色の中間色であるピンク色のコロニーを多数例に観察し,そのシーケンス解析の結果,PTH2と呼ばれる,PTENの偽遺伝子(processed pseudogene)が病的に発現していることを確認した.この発現はPTEN変異を相補的関係にあり,PTEN変異に代わる病的役割が示唆された.次年度は11.研究発表の欄に記載したような我々が明らかにした新らしい遺伝子異常(Mdm2 varian,neuralized)についてのstop codon assay構築や,他の既知遺伝子のstop codon assayを構築する予定である.
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