研究概要 |
本研究の目的は腫瘍抑制遺伝子のchain terminating mutationを簡便かつ正確に検出できる酵母stop codon assayを開発し,脳腫瘍をはじめとするヒト腫瘍に応用し,腫瘍におけるそれら遺伝子変異の意義を探ることである. 本研究により最終的に以下のような研究成果を得た. 1)PTEN/MMAC1遺伝子のstop codon assayを確立,Cowden/Lhermitte-Ducros病においてPTEN胚細胞変異を正しく検出・同定した.さらに,GradeI〜IVの星細胞腫に本アッセイを応用することにより膠芽腫において高い頻度で変異を検出した.また,ピンク色のコロニーとしてPTENの偽遺伝子ψPTEN発現を高い頻度で,PTEN変異に相補的な形で検出し,PTEN変異に代わる病的役割が示唆された.この結果は2000年,Oncogene誌に発表された. 2)APC遺伝子のstop codon assayを開発し,脳腫瘍に応用したが,PAC変異は検出されなかった.一方大腸癌症例では高い頻度でAPC変異を検出し,また,乳癌症例でも18%の症例に変異を検出し,誌上発表を行った(Am J Pathol,2000). 3)NF2 stop codon assayをschwannoma,ependymoma,meningiomaなどに応用し,高い変異検出率を得るとともにexon skippingが変異の重要な形として同定された.これらの結果をまとめ近く誌上発表の予定である. 4)さらに特定遺伝子だけではなくいかなる遺伝子にも即座に応用できるUniversal stop codon assayを開発し,APC,MLH1,MLH6,E-cadherin,BRCA1などの遺伝子に応用し,その成果を現在投稿中である(Genetics誌)
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