研究課題/領域番号 |
10470288
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高垣 政雄 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70252533)
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研究分担者 |
切畑 光統 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60128767)
古林 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90089136)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / 中性子捕捉療法 / 硼素 / BPA誘導体 / 前臨床試験 / 活性相関 |
研究概要 |
Boronophenylalanine(BPA)の脳腫瘍親和性を高めることを目的に、水溶性を保ちつつカルボキシル基やアミノ基である側鎖を順次取り除いたBPA誘導体を各種合成し、脳腫瘍培養細胞系で実際に中性子捕捉療法を行い腫瘍致死効果を検討することによりBPAの構造と生物活性の相関性を明らかにした。その結果、カルボキシル基は腫瘍取り込みに関し全く必要としない構造であることが判明した。そこでBPAのカルボキシル基をヒドロキシメチル基に変換したp-boronophenylalaninol(BPA-ol)を新規合成し脳腫瘍系でBNCT効果を検討したところ極めて高い殺細胞効果を有することを見い出した。C6グリオザルコーマ細胞を用いた中性子捕捉療法効果はBPAに比して4.3倍もの極めて高い殺細胞効果を示した。一方、脳腫瘍担癌ラット中の硼素分布はBPAとほぼ同様に高い腫瘍集積性を示した。更に、細胞毒性もBPAとほぼ同程度であった。これらの結果からBPA-olが悪性脳腫瘍の中性子捕捉療法のための次期硼素化合物として極めて実用性の高いことが確認された。以上の結果は第8回中性子捕捉療法国際シンポジウム(1998年9月、チューリッヒ)に於いて発表された。現在、本研究の最終年度に臨床試験を行うべくBPA-olの大量合成、動物を用いた毒性試験並びに中性子捕捉療法効果の検討を進めデータを集積する一方、更に誘導体の合成を行い生物活性相関の検討を行っている。
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