研究概要 |
本研究では、虚血性神経細胞の生死における活性酸素、レドックス制御機構の関与を細胞分子生物学的に解析することを目的とした。平成11年度においては、ラット、マウス局所脳虚血モデル、ラットミトコンドリア障害モデルにおいてTRX/ADF及び関連因子の発現を確認した(Neurosci Lett 275:145-148,1999;Biophys Biochem Res Commun 258:390-394,1999)。またマウス局所脳虚血モデルにおいて遺伝子操作によるTRX/ADFの過剰発現が脳梗塞縮小効果をもつことを証明した(Proc Natl Acad Sci USA 96:4131-4136,1999)。平成12年度では、マウス(C57/B6)局所脳虚血モデルにおいて、脳虚血開始後3時間にわたりTRX/ADFを持続全身投与すると脳梗塞体積が有意に減少することを確認した(The First American-Japanese Meeting for Surgical and Endovascular Treatment of Cerebrovascular Disorders in Hawaii,Feb 9-12,2001,Abstract p142)。また新生ラット低酸素脳障害モデル(一側総頚動脈閉塞+8%低酸素2時間負荷)において脳梗塞巣周囲の神経細胞にTRX/ADFmRNAおよび蛋白の発現を確認した(第26回日本脳卒中学会、大阪、2001年3月15-16日)。以上より、さまざまな脳虚血においてTRX/ADFの関与とTRX/ADFによる虚血性神経細胞死の抑制効果が示唆された。
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