研究概要 |
〈はじめに〉 モヤモヤ病の原因は未だに不明である。今回我々はモヤモヤ病発症の遺伝子学的素因が認められるかをHLAタイプについて検討した。 〈方法〉 71例のモヤモヤ病患者白血球よりDNAを抽出して、HLA-ClassIについては.HLA-A geneを、ClassIIについてはHLA-DRB1,DQA1,DQB1,DPA1,DPB1geneに ついて、PCR-SSOPを行い検討した。 〈結果〉 この疾患におけるHLAタイプ。この中でHLA-DQBl^*0502がモヤモヤ病と正の相関を認めた。一方でDRB1^*0405とHLA-DQB1^*0401は負の相関を認めた。モヤモヤ病早期発症例と遅発性発症例に分けて検討を加えたところ、この2つのグループにおいて相関のあったHLAタイプは全く重ならなかった。 〈考察〉 モヤモヤ病患者において、HLA Class IIのタイプのいくつかに相関を認めた事から、モヤモヤ病の発症には遺伝子学的素因も関与していることが予想される。また早期発症例と遅発性発症例では異なった遺伝子支配を受けているものと考えられ、モヤモヤ病発症時期にも遺伝子学的素因が関与してると考えられる。モヤモヤ病の遺伝子異常についてはさらに検討を加えなければならないが、この研究は今まで明らかでなかったモヤモヤ病患者の遺伝子異常の存在の可能性を示唆している。
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