研究課題/領域番号 |
10470299
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三浪 明男 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20133738)
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研究分担者 |
岩崎 倫政 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30322803)
伊東 学 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00271677)
末永 直樹 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (70261310)
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キーワード | 同種関節移植 / 同種肢移植 / FK506 / 免疫抑制 / time dependency |
研究概要 |
本研究の目的は、非生命維持組織移植である肢・関節移植をいかに重篤な合併症を予防し、安全に行うかという点にある。このため、donor/recipient間の主要組織適合抗原亜領域を一致させることによる移植片生着への影響および免疫抑制剤の必要投与量を何らかの投与方法の工夫により減少させることが可能であるかという点について、ラット肢移植モデルを用いた実験的研究により明らかにしてきた。前者に関してはラットMHCであるRT1-Aと-Dの両者を一致させることにより移植片の生着期間がRT1非一致群に比べ2倍以上延長することを証明し、同種肢・関節移植におけるRT1-A、-D両者の一致の重要性を明らかにした(平成11年度本研究において)。本年度は後者に関連し、FK506の効果にはtime dependency、すなわち投与日による効果の相違はあるのかという仮説を証明するための実験的研究を行った。方法はラット同種肢移植モデルを作製し、これにFK506 5mg/kg単回投与を術日(day0群)、術後1日(day1群)、術後2日目(day2群)に行った(各n=5)。各群の移植片の平均生着期間および組織学的所見を比較することで、FK506投与日の相違による効果判定を行った。移植片生着期間は、非投与群で9日、day0群19日、day1群52日、day2群42日であり、day1およびday2群において有意な延長を認めた。また、組織学的所見においてもこれらの群は他に比べ拒絶反応は有意に抑制されていた。これらの結果より、FK506にはtime dependencyがあり、術直後の投与よりも術後24-48時間後の投与がより効果的であると考えられた。これにより、FK506必要投与量の減少が可能になり、重篤な合併症の予防も可能になると考えられる。今後は、血中サイトカイン濃度の推移などからそのメカニズムを解明していく予定である。
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