研究概要 |
後縦靭帯骨化症(OPLL)は日本人を始め東洋人に頻度が高く、50歳以上の3-4%が罹患している、いわゆるCommon Disease に位置する。OPLLは高齢発症疾患にもかかわらず遺伝背景が比較的強いことが知られている。遺伝要因の強さの指標であるλ_sは10である。疾患成因およびそのメカニズムを知るためには責任遺伝子同定が重要な鍵となる。我々は鹿児島大学、弘前大学整形外科の協力で140組のOPLL罹患同胞対を収集できている。これまでにも候補領域連鎖解析により、染色体6番のHLA領域の遺伝マーカーで強い連鎖を認め、候補遺伝子解析からコラーゲン11A2遺伝子の関与があきらかとなった。またコラーゲン11A2遺伝子変異(イントロン6の-4変異)がスプライシング変化をきたすことを見い出している。しかしながら典型的な多因子疾患であるOPLLの責任遺伝子は多数存在すると予想された。ひきつづきすべての責任遺伝子を同定すべく、ゲノム全域での連鎖解析により、疾患遺伝子座の体系的な解析を完遂した。当初、400組のマイクロサテライトマーカーセット(Linkage mapping set version II,PE applied)によりゲノム全域での連鎖解析をおこなった。これらは白人で比較的多型性の高いマーカーであるが、日本人ではヘテロ接合性の低いマーカーが多数(ほぼ10%)含まれていた。そこで、あらたに60マーカーを補追し、情報度の高いマーカー群で連鎖解析をおこなった。連鎖の検定はノンパラメトリック解析のSIBPALもしくはGENEHUNTERプログラムをもちいている。OPLLのゲノム全域解析でいくつかの領域でP=0.01より強い連鎖を認めている。その中でも最も強い連鎖(最大LOD=3.4、 P=0.000009)を21q22領域(D21S263)に特定できており、Dense Mapping による確認もできている。
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