研究概要 |
現在までに骨吸収の3種類のアッセイ系を用いて、以下の結果を得た。高濃度(≧10^<-9>M)のFGF-2は、培養骨からの^<45>Ca遊離系および共存培養における破骨細胞様細胞形成系において骨吸収および破骨細胞形成を強力に促進し、この作用は骨芽細胞でのプロスタグランジン(PG)合成、特にシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の転写誘導を介する間接的なものであることが分かった。また、ウサギ単離成熟破骨細胞による骨吸収窩形成系では、低濃度(≧10^<-12>M)で軽度に促進された。以上より、FGF2は、高濃度では骨芽細胞に働いて骨形成を誘導するのと同時にCOX-2の発現・プロスタグランジンの産生を介して強力に骨吸収を促進し(間接作用)、低濃度では破骨細胞に直接働いて骨吸収を軽度促進することが明らかとなった。ここまでの結果は、英文雑誌Journal of Bone and Mineral Researchに投稿中である。 この骨芽細胞と破骨細胞に対する作用の違いを明らかにするために両細胞における受容体の比較をRT-PCRおよびWestern blotを用いて行ったところ、骨芽細胞ではFGFR1,2,3,4のすべてが発現していたのに対し、成熟破骨細胞ではFGFR1のみが発現していた。一方、FGF2の破骨細胞に対する直接作用はリン酸化阻害剤であるHerbimycinAによって対照培養のレベルまで抑制されたため、マウス単離成熟破骨細胞におけるチロシンリン酸化の検討をKinase AssayおよびWestern blotを用いて行ったところ、FGFR1の自己リン酸化、およびMAP Kinaseのタンパク質チロシンリン酸化が促進が見られた。現在、FGF2の破骨細胞におけるシグナル伝達について検討中である。
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