研究課題/領域番号 |
10470303
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 栄明 新潟大学, 医学部, 教授 (50018397)
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研究分担者 |
羽生 忠正 新潟大学, 医学部, 助教授 (20189591)
遠藤 直人 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10251810)
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キーワード | Bone marrow stromal cells / ostcoprogenitor cells / Bone morphogenetic protein-2 / 脂肪細胞 / 骨形成 / in situ hybridization |
研究概要 |
1. ヒト骨髄内骨原細胞の分化機構について ヒト腸骨より採取したヒト骨髄細胞から骨原細胞を選択的遠心分離し、培養増殖させた。継代培養後、骨芽細胞および脂肪細胞への分化誘導のためヒトリコンビナントBMP-2およびデキサメサゾンの存在下に培養し、アルカリフォスファターゼ活性、Oil rcd Oによる脂肪細胞の染色、RT-PCR法による脂肪細胞の分化マーカー遺伝子を検討した。その結果、デキサメサゾンは、骨芽細胞系・脂肪細胞系への分化いずれにおいても重要な役割をはたしていた。また、ヒトリコンビナントBMP-2は、骨芽細胞系への分化を進めるのみでなく、デキサメサゾンとの併用により脂肪細胞への分化も誘導した。このことは、BMP-2は脂肪細胞への分化にも大きく関係していることを示し、ヒト骨原細胞の多能性を示すものであった。 2. ヒト骨髄内骨原細胞による骨形成 上記と同様にヒト腸骨より採取し、培養増殖させた細胞を用いた。培養細胞の骨形成細胞としての性格を調べるとともに、ヒトリコンビナントBMP-2及びフィブリン糊を用いてヌードマウスに移植し、in vivoでの骨形成を検討した。ヒト骨髄由来の骨原細胞は、数回の継代培養後も骨芽細胞系細胞としての形質を維持していた。マウスへの移植実験においては、ヒトリコンビナントBMP-2には骨誘導能力があるため、添加して移植したものはマウス由来の骨形成を明らかに誘導した。さらに、DNA-ISH法を用いて骨形成細胞の由来を同定した結果、明らかなヒト骨原細胞由来の骨形成を認めた。一部には、ヒト及びマウス由来の骨形成細胞が同じ骨組織の中に共存していた。加えて、軟骨形成も認めた。このことより、ヒト骨原細胞は、将来において、ヒトリコンビナントBMP-2などの骨形成誘導因子と併用することで、自家骨原細胞移植という形で、骨欠損や骨減少に対する治療に有効利用することができる可能性を示した。
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