研究課題/領域番号 |
10470306
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (40273502)
|
研究分担者 |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
中村 孝志 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10201675)
|
キーワード | 骨肉腫 / 網膜芽細胞腫遺伝子 / キメラマウス / 形質転換 |
研究概要 |
本研究では、癌化制御機構の中心に存在すると考えられている網膜芽細胞腫(Rb)遺伝子の不活化から癌の発生に至る過程を、骨芽細胞という特定の組織由来の細胞を用いて解析することを目的とした。まず、Rb(-/-)骨芽細胞を樹立するために、Rb(-/-)ES細胞を用いてRb(+/+)細胞とRb(-/-)細胞とのキメラマウスを作成し、このマウスの頭蓋冠及び長管骨よりRb(-/-)細胞を単離した。次に単離された細胞群から分化マーカーであるアルカリフォスファターゼを指標として、骨芽細胞としての形質をもつクローンを樹立した。樹立されたクローンは、成熟骨芽細胞のマーカーであるオステオカルシンの発現は低値であったが、CbfalあるいはBMP2の発現はRb(+/+)の骨芽細胞系と同等に発現していた。またin vitroでの分化誘導実験では、アルカリフォスファターゼの活性亢進、そして石灰化巣の形成を認め、分化機構は維持されていることが判明した。また、この細胞は分裂回数が90回程度になると、細胞死に至り、Rb蛋白の欠如が必ずしも細胞を不死化させないことも判明した。更に、増殖因子等に対する反応の相違を詳細に解析するために、この細胞に発現誘導可能なRb遺伝子を導入することを試み、現在、テトラサイクリン誘導システムを構築中である。また骨肉腫において変異が認められる、もうひとつの癌抑制遺伝子であるp53遺伝子を不活化するためにdominant negative型のヒト変異p53遺伝子を導入した。導入細胞はRb(-/-)骨芽細胞と異なり、分裂回数が90回をすぎても旺盛な分裂能を示し、癌化過程における不死化のステップをクリアーした細胞であると思われる。現在、この細胞のin vitro及びin vivoにおける癌化形質を解析している。
|