1.新たに開発した屈筋腱縫合法を、屍体腱にて評価した論文を、Hand Surgery第3巻(1998)に掲載することが出来た。 2.次に、この縫合法が、in Vivoにて有効であることを成犬を用いた観察にて証明した。生体力学的にこれまでの縫合法より優れていること、組織学的にはepitenon優位の治癒を示さず、endotenon優位の治癒が行われることを呈示した。2月1日にアメリカ整形外科基礎学会にて、3月3日にアジア太平洋手の外科学会にて、口演発表した。これを論文にまとめてJournal of Hand Surgeryに投稿し、審査中である。 3.この縫合法を、吸収糸にて行った研究をすすめ、屈筋腱縫合は吸収糸でも可能であることを示した。これまでと大きな相違点は、開発した縫合法が強固な縫合張力を有していること、このため、縫合直後より自動運動が可能となり縫合部に十分なストレスを作用させることが可能となった点にある。この知見を、9月2-4日のアメリカ手の外科学会、10月7日日本整形外科基礎学会、その他にて発表した。結果をまとめて専門英文誌に投稿準備中である。 4.縫合部における lockingとgraspingの相違点をあきらとし、実際の縫合において張力その他生体力学的要素に有意差を持って、lockingが重要である知見をえた。今年度中に、関連学会にて報告予定である。 5.血管新生の検討に関しては、これまでに開発された免疫染色法にて評価できないことが明かとなったので、新たな評価法を開発中である。
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