研究課題/領域番号 |
10470313
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
後藤 文夫 群馬大学, 医学部, 教授 (00092015)
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研究分担者 |
井上 登美夫 群馬大学, 医学部, 助教授 (80134295)
斎藤 繁 群馬大学, 医学部, 助手 (40251110)
石埼 恵二 群馬大学, 医学部, 講師 (50193305)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 肋間神経 / NK-1受容体 / セロトニン / 5-HT |
研究概要 |
脊髄神経が損傷されると、皮膚の傷が治った後も、軽い接触、寒冷刺激などで痛みが誘発される「神経障害性疼痛」が持続する。動物実験では、ラットの坐骨神経を損傷するモデルを用いて神経障害性疼痛の発現機構に関する研究が行われているが、臨床的には、胸部の手術後に発生しやすく、難治性の疼痛である。そこで、われわれはラットの肋間神経を損傷することによって新たな神経損傷モデルを作成し、感覚異常の発現と脊髄後角NK-1受容体の関連を検討した。同時に、坐骨神経損傷モデルも用いて抑制系(セロトニン系)の役割を検討した。 肋骨を切断しただけでは、神経障害性疼痛は起こらないが、肋間神経を損傷すると、2週間をピークに感覚障害とアロディニアが長期間持続した。また、脊髄後角I,II層のNK-1受容体も術後2週間をピークに増加し、in vivoデータに一致する結果が得られた。セロトニン系に関する実験では、5-HT_2作動薬のみが脊髄で抗アロディニア作用を示すことが確認された。 神経障害性疼痛に関する動物実験は、坐骨神経(ラット)、耳介神経(家兎)などのモデルに限られていたが、臨床的には開胸術後痛の発生がもっとも頻度が高く、症状も重篤である。この点に注目して開発したラットの肋間神経損傷モデルによって、開胸術後痛は肋骨や胸膜の損傷とは関係なく、肋間神経の損傷が原因であることが明らかにされた。また、その発現機構には、NK-1受容体の発現が重要な役割を果たすことも明らかになった。さらに、そのような症状を抑制するには、5-HT_2作動系が重要な役割を果たすことも今回の研究から示唆された。
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