研究課題/領域番号 |
10470317
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
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研究分担者 |
浜中 俊明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手
内田 一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00232843)
西村 信哉 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (00263286)
吉矢 生人 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (80028505)
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キーワード | 麻酔作用 / 特異的 / 作用メカニズム / キセノン / 亜酸化窒素 / NMDA受容体 / イソフルラン / セボフルラン |
研究概要 |
本研究は、キセノンの麻酔作用が非特異的または特異的メカニズムのどちらに因るのかを明らかにすることを目的とする。平成11年度に、抑制性受容体のGABA_A受容体のClカレントに対してキセノンが亜酸化窒素とともに賦活作用を示さないことを明らかにした。そこで、キセノンや亜酸化窒素は他の受容体に特異的に作用するのではないかと仮定し、興奮性受容体であるNMDA受容体に対する作用を検討した。マウスの脳NMDA受容体cDNA:ζ_1ε_1より作成したcDNAテンプレートによりmRNAを作成する。アフリカツメガエルの卵母細胞にインジェクターにてmRNAを注入して、20℃で48時間インキユベーションし、再構成NMDA受容体を発現した卵母細胞を作成した。再構成NMDA受容体のCa^<2+>/Na^+電流を2電極電位固定法にて測定した。recombinant NMDA受容体(ζ_1ε_1)のイオンチャンネル機能に対するキセノンの作用を亜酸化窒素や揮発性麻酔薬と比較検討した。2電極固定法を用いてNMDAにより誘発されるNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流に対する各麻酔薬の効果を測定した。イソフルランとセボフルランは0.5MACさらに1.0MACにおいてNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流に影響しなかった。一方、臨床濃度のキセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流を濃度依存的および可逆的に抑制した。これらの結果は、揮発性麻酔薬はGABA_A受容体系に対して、キセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体に特異的に作用することを示唆している。本研究により、キセノンは不活性ガスであるにもかかわらず作用特異性を有するという結論が得られた。
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