研究概要 |
1.肺、気管支におけるNMDA受容体のmRNAの確認: ラットの肺においてNR2CmRNA、NR2DmRNの存在を、気管支においてNR2DmRNの存在を、rtPCRにて確認したが、他のサブユニットは確認されなかった。次にノーザンブロット法においてこれらの存在を検討した。しかし、通常使用される20,30,40,50,100μgのtotal RNAではそれらの発現は確認できなかった。これはmRNAの発現量が非常に少ないためと考え、500μgのtotal RNAから精製したpoly A RNAでノーザンブロット法を行ったところNR2 DmRNAが肺のみで確認された。この方法にてもNR1は確認できなかった。また、Western BlotにてNR2C,NR2Dのタンパクは認められなかった。以上より、NR2C,NR2DのmRNAは非常に微量に肺に存在するが、そのタンパクの有無は不明である。 2.肺におけるNMDA受容体の病態生理学的研究: ラット肺潅流実験系を用いNMDAが肺動脈圧、気道内圧、肺水腫の有無を調べたが、有意の変化は見られなかった。本実験系はSaidらの報告とは異なるため、いろいろな条件を変えまたモルモットでも実験を行ったが、結果は同様であった。次に、薬理学的実験として、気管、気管支、肺動静脈を摘出し、潅流液中にてNMDAを加えこれらの収縮を調べたが、本実験系においても有意の変化を認めなかった。 3.肺にはNMDA受容体のsubunitであるNR2DのmRNAは微量には存在するが、そのタンパクの存在は確認されず、その病態生理学的意義は今回の研究では認められなかった。
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