研究課題/領域番号 |
10470334
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
横山 修 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (90242552)
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研究分担者 |
小松 和人 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (80291368)
高 栄哲 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (90283134)
並木 幹夫 金沢大学, 医学部, 教授 (70155985)
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キーワード | アルツハイマー / 痴呆 / 神経因性膀胱 / マイネルト基底核 / アセチルコリン / イボテン酸 / 尿失禁 / 膀胱 |
研究概要 |
記憶の形成障害を症状の1つとするアルツハイマー型痴呆症では海馬や大脳皮質に投射するアセチルコリン作動性神経細胞の機能低下が特徴の1つである。今回類似モデルをラットに作成し、頻尿、尿失禁モデルとしての有用性を検討すると共に、脳内神経伝達物質であるアセチルコリン系の関与を神経薬理学的に検討した。以下の結果が得られた。 1、 ラットのマイネルト基底核に、NMDAagonistであるイボテン酸を微量注入(10μg/μl)し、ニューロンの障害を起こさせる。1-2週後、ラットに膀胱瘻を作成し、無麻酔下に膀胱内圧、外尿道括約筋筋電図の測定を行ったところ膀胱容量は小さく、イボテン酸の代わりにPBSを投与した群に比べ有意な減少であった。 2、 イボテン酸投与直後より膀胱容量の変化を観察すると、投与1日後では30-50%のラットに排尿反射が認められず、比較的低圧のまま尿は持続的に流出していた。2日後には排尿反射は復活したが、膀胱容量は小さかった。 3、 摘出脳(大脳皮質)のcholine-acetyltransferase活性を測定したところ、PBS群に比べイボテン酸投与群では有意に活性が低下していた。 4、 神経伝達物質であるアセチルコリンのagonist、antagonistを脳室内に投与し、排尿反射への影響を検討して、排尿反射亢進の発生機序を薬理学的に検討した。その結果general muscarine receptor agonistのoxotremorine Mは膀胱容量の減少に引き続き増大が認められた。しかし残尿量の増加もみられた。一方この効果はantagonistであるscopolamineにより拮抗された。PBS群とイボテン酸投与群で反応性に差があるか現在検討中である。
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