研究分担者 |
佐藤 一成 秋田大学, 医学部, 講師 (90270842)
赤尾 利弥 秋田大学, 医学部, 助手 (40301064)
加藤 哲郎 秋田大学, 医学部, 教授 (40004642)
筧 善行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20214273)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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研究概要 |
尿路上皮癌の異所性再発や浸潤性増殖を来たすメカニズムの解明は不十分である。我々は、以前より多発尿路腫瘍(同時性、異所性)の分子遺伝学的解析を行なってきた。今回、100検体に及ぶ腫瘍の遺伝子解析を行い、多発尿路腫瘍の80%以上の症例は、同一クローンを起源として多発したと考えられる所見を得た(Cancer Res,58:5835-,1998)。また、再発腫瘍の経時的遺伝解析により、第9染色体の異常が、尿路上皮癌の発生・進展の極めて初期のステップであることを証明した。また同様の経時的遺伝解析により、染色体2qにも、膀胱癌の進展に関する重要な癌抑制遺伝子が存在することがわかった。さらに我々は第9染色体長腕の癌抑制遺伝子の候補領域の1つが、9q32-33に存在することを報告し、候補領域(DBC1)のYAC Contigを作成してきたが、今回この領域より癌抑制遺伝子の候補を同定し、cDNA、ゲノムの構造および正常組織での発現を解析した(Genomics,48:277-,1998)。この遺伝子(DBCCR1)の尿路上皮癌での変異解析を行ったが、変異は検出されなかった。しかし正常尿路上皮で認められるmRNAの発現が、尿路上皮癌細胞で消失しており、この機序として5'-領域のhypermethylationを検出した(Genomics,48:277-,1998)。さらにdeletion mappingを行うとともに(Jpn J Cancer Res 90:1-,1999)、DBCCR1遺伝子のhomozygous deletionを有する腫瘍を同定し、9q32-33のDBC1が癌抑制遺伝子の候補領域としての所見を発表した(Genes Chromosomes and Cancer,26:171-,1999)。また膀胱癌の一部に9q34の遺伝子TSC1や10qのPTENに変異があることを示した(Oncogene,18:2657-,1999;Br.J.Cancer,80:904-,1999)。
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