研究分担者 |
水谷 陽一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
寺井 章人 京都大学, 医学研究科, 助手 (50243019)
寺地 俊郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (50207487)
羽淵 友則 京都大学, 医学研究科, 助手 (00293861)
垣塚 彰 大阪バイオサイエンス研究所, 第4研究部, 部長 (80204329)
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研究概要 |
前立腺特異抗原(以下PSA)のプロモーター領域の解析を行い.5'領域の5.3Kbが前立腺特異的なプロモーター活性を有することを,ヒト前立腺癌細胞で唯一アンドロゲン反応性を有するLNCaP細胞で証明した。しかし,そのプロモーター活性は弱いことから,人工的な転写活性化因子であるGALA-VP16融合遺伝子を介在させたTwo Step Transcriptional Activation system0(以下TSTA)による発現増幅システムを導入した。その結果PSAを発現するLNCaP細胞のみでCMVプロモーターに匹敵する転写活性を認めた。さらに遺伝子治療への応用を目指し,Expanded-polyglutamine geneを発現させ,PSA特異的に細胞死を導くことができた。さらにこのTSTAシステムをアデノウイルスの系で発現させるため,リポーター遺伝子を発現する組み替えアデノウイルスを作成した。現在組織特異性・発現レベルを解析中である。 一方,前立腺癌同所移植実験系を確立するための実験を平行して遂行した。まず,アンドロゲン反応性のLNCaP細胞にGFP遺伝子をトランスフェクションし,GFPを恒常的に高発現し,しかも本来のアンドロゲン反応性やPSA産生能を保持するLNCaP-GFP細胞を樹立した。この細胞をSCIDマウスの前立腺に同所移植すると,従来の方法では最低12週間を要した肺転移の同定が蛍光顕微鏡下に4週で観察できた。この系により,上記で作成した前立腺癌特異的遺伝子治療用組み替えベクターの治療効果が短期間で再現性良く観察できると予想される。この転移系を用いて他の治療用ベクターの効果も解析可能である。また,転移巣形成の初期の分子機序の解明や,転移を抑制する効果のある薬剤のスクリーニングの系としても有望と思われ,今後検討を重ねる予定である。
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