研究概要 |
本年度は1)MRI画像と腫瘤の組織像の関係をより詳細にすることを目的とし、担子宮筋腫手術症例より得られた子宮筋腫結節を術前のMRIを撮影像(ダイナミックMRI)にみられた血流動態から腫瘤の細分類し、術後に腫瘤の組織像、細胞増殖調節因子、増殖抑制因子、膠原線維量などを組織学的に検討した。その結果、膠原線維部分の割合(M±SD)はMRI画像の分類によるtype1は59.2±12.5%,type2は47.6±10.5%,type3は44.2±11.4%,type4は29.4±14.2%であり、typelおよび2の子宮筋腫はtype4の子宮筋腫に比べて有意に膠原線維の含有量が多かった。また、type1,2の子宮筋腫では各筋腫細胞の周りを厚い膠原線維束がとりまいて蜂の巣状を呈していた。 またGnRHaによる腫瘤縮小率が低くMRI像でインテンシティーの低い子宮筋腫では膠原線維の含有量が多いことが判明し、このことがGnRHaの効果に差をもたらしている可能性が示唆された。また2)培養子宮筋細胞、子宮筋腫細胞及び子宮平滑筋肉腫細胞に対する性ステロイドやゴナドトロピンなどのホルモンの影響を検討し結果、HCGの添加により子宮筋培養細胞で軽度増殖を認め、子宮筋肉腫細胞の増殖には影響を与えなかったが、子宮筋腫細胞においては著明な細胞増殖を認めた。またこれらのホルモン添加の有無に拘わらずp34cdc2,cyclinEなどの細胞周期調節因子は、子宮筋細胞では発現増強は見られなかったが子宮筋肉腫細胞では強い発現を認めた。一方子宮筋腫細胞ではHCG添加によりこれらの因子の発現増強が認められた。子宮筋腫細胞にHCGを添加することにより細胞増殖がみられ、また増殖に関与するp34cdc2,cyclinEなどの細胞周期調節因子が誘導されることからHCGは子宮筋腫細胞に対して増殖作用を持つことが示唆された。
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