子宮内膜組織におけるアポトーシス制御機構の解析

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10470347
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 荻田 幸雄 大阪市立大学, 医学部, 教授 (00047086)
• 研究分担者: 梅咲 直彦 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (20106339) ; 深山 雅人 大阪市立大学, 医学部, 助手 (50305629) ; 田中 哲二 大阪市立大学, 医学部, 講師 (80275255)
• キーワード: 子宮内膜 / アポトーシス / サイトカイン / Fas / 抗癌剤耐性 / bcl-2 / 子宮内膜癌 / 子宮内膜症

研究概要

本申請研究では同時に以下のような多数の研究を行っている。
(1) ヒト正常子宮内膜上皮のアポトーシス制御機構の解析:(1)各種間質細胞サイトカインが子宮内膜アポトーシス感受性を制御することを証明し(論文発表済)、現在はその細胞内シグナルを解析中。(2)現在、癌細胞由来アポトーシス阻害物質を精製している。(3)組織特異的なBcl-2関連分子による子宮内膜アポトーシス制御機構の存在を予測し(論文投稿中)、目下、遺伝子導入発現実験による直接証明中。(4)Fas介在子宮内膜アポトーシスでは組織特有のcaspaseを利用している(論文投稿中)。目下、アポトーシス刺激種と各対応するcaspase familyを同定中。(5)細胞外基質との細胞接着が子宮内膜上皮の運動能やアポトーシス感受性を制御している(論文投稿中)。現在は、細胞接着による細胞内アポトーシスシグナルの修飾を解析中。
(2) 子宮内膜腺癌のアポトーシス誘導療法の開発:(1)子宮内膜腺癌細胞ではアポトーシスシグナルが障害されている(論文投稿中)が、現在は手術摘出癌組織を用いてシグナル異常部位の遺伝子レベルの解析を検討中。(2)ある種のサイトカインや細胞外基質を加えると、抗癌剤アポトーシス誘導能が強化されるが、現在はそのシグナル制御について解析中。(3)子宮内膜腺癌からの抗癌剤耐性株を用いて、抗癌剤誘発アポトーシス制御分子のcDNAクローニングに取り組んでいる。
(3) 子宮内膜症におけるアポトーシス制御機構の意義と新しいアポトーシス誘導療法の開発:(1)子宮内膜間質細胞の分化誘導研究と並行して、子宮内膜症患者で低下した内膜細胞アポトーシス感受性を再亢進させる物質を検索中。(2)子宮内膜症治療薬Danazolは子宮内膜細胞のアポトーシス感受性を亢進させる(一部論文発表済、論文執筆中)が、現在は、このDanazolの作用点の細胞内標的分子を解析中。

研究成果

• [文献書誌] Tanaka T,Umesaki N,et al.: "Enhancement of apoptotic susceptibility in human endometrial epithelial cell line HHUA by transforming growth factor-β1." Horm.Metab.Res.30. 61-65 (1998)
• [文献書誌] Tanaka T,Umesaki N,et al.: "Enhancement of apoptotic susceptibility by interleukin-1 in human endometrial epithelial cells." Gynecol.Endocrinol.12. 315-319 (1998)
• [文献書誌] Tanaka T,Mizuno K,et al.: "Suppressed apoptotic susceptibility in human endometrial epithelial cells pretreated with hepatocyte growth factor." Clinical and Experimental Obstetrics & Gynecology.25. 125-128 (1998)
• [文献書誌] Tanaka T,Mizuno K,et al.: "Regulation of human endometrial stromal differentiation by IL-1β" Jpn J Fertility Implantation. 16. 164-167 (1999)
• [文献書誌] Tanaka T,Mizuno K,et al.: "Enhanced Fas/CD95-mediated apoptosis by epidermal growth factor in human endometrial epithelial cells." European Journal of Obstetrics & Gynecology Reproductive Biology. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] Tanaka T,Umesaki N,et al.: "Danazol effects on human endometrial cells in vitro" Clinical and Experimental Obstetrics & Gynecology.(印刷中). (1999)
• [文献書誌] Tanaka T,Masuda M,: "Establishment and charcterization of anticancer-drug-resistant subclone derived from human cervical squamous cell carcinoma" Cytomolecular Genetics.Vol.4(印刷中). (1999)
• [文献書誌] Mizuno K,Tanaka T,et.al.: "Inhibition of cAMP-mediated decidualization in Human endometrial stromal cells by laminin and IL-1β and laminin." Horm.Metab.Res.Vol31(印刷中). (1999)