研究概要 |
1.金属元素の動態:アスフィキシアあるいは迷路動脈の圧迫による一過性虚血負荷を加えると、外リンパあるいは内リンパにおいて、一過性に虚血解除後に鉄濃度が有意に上昇した。また鉄キレーターに、よって、一過性虚血によるDPOAEの抑制が改善された。 2.過酸化脂質(ヒドロキシルラジカル)の測定:アスフィキシアあるいは一過性虚血解除後、2,3-ならびに2,5-DHBは有意に上昇し、その上昇は2時間以上持続した。またスカベンジャーを投与することによって、一過性虚血・再斎藤流障害によって生じる蝸牛活動電位閾値の上昇も有意に抑制された。 3.ステロイドホルモン:RT-PCR法にて蝸牛内グルココルチコイド受容体(GR)mRNAの発現を検討した。蝸牛にGR mRNAが発現した。さらに、強大音負荷によって、負荷解除後GR mRNAのdown regulationが認められた。一方、メチルプレドニゾロンは蝸牛組織においては、長時間高濃度が保持されることが明らかとなった。 4.一酸化窒素(NO)の測定:NO測定システムを用い、外リンパ中のNOを直接測定した。アスフィキシア負荷によって外リンパ中のNOが負荷解除後一過性に有意に上昇することが初めて明かとなった。一方、非選択的NOS抑制剤、選択的nNOS抑制剤いずれも障害抑制効果が認められた。選択的iNOS抑制剤の投与では、外リンパ斎藤流により一過性虚血負荷によるCAP・ABR閾値の上昇が抑制され、外有毛細胞の方が内有毛細胞よりも障害が強く認められることが組織学的にも実証された。
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