研究課題/領域番号 |
10470359
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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研究分担者 |
與田 順一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10230822)
斉藤 ただ人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80205658)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 頭頸部癌 / 転移 / E-カドヘリン / 血管新生因子 / VEGF / vascular endothelial growth factor / VEGF / soluble E-cadherin |
研究概要 |
1)頭頸部癌における癌抑制遺伝子の検索と臨床への応用 中咽頭癌症例26例(男性21例、女性5例)におけるp53蛋白過剰発現は62.5%に(15例)に認められた。Stage IIIおよびIVの進行例について、p53蛋白過剰発現と予後との関連を検討したところ、陽性例は5年生存率が0%、陰性例は41.7%と陽性例において有意に予後が不良であった。 2)頭頸部癌におけるhuman papilloma virus(HPV)の検索 HPV DNA陽性症例はHPV DNA陰性症例に比べ有意に高い完全寛解率を示した。 3)腫瘍細胞浸潤能に及ぼすカドヘリンの影響と基底膜浸潤機序の解析 抗カドヘリン抗体を用いて癌細胞のカドヘリン機能を抑制した場合の癌細胞の形態学的変化および基底膜浸潤能の変化を検索した。抗カドヘリン抗体処理によりE-カドヘリン発現細胞2株で形態学的変化が認められ、敷石状に付着した細胞は抗体の処理後浮遊した。E-カドヘリン陽性細胞株を抗カドヘリン抗体で処理すると、基底膜浸潤細胞の増加が認められたが、陰性細胞株では浸潤能の変化は認められなかった。 4)頭頸部扁平上皮癌における血管新生とカドヘリンの血管新生に及ぼす影響に関する研究 遠隔転移と癌組織における血管密度とが有意に関連しており、癌組織の血管密度は転移を予測する因子として有用と考えられた。上顎癌および舌癌細胞株において抗カドヘリン抗体処理群でVEGFの産生増加が認められた。すなわちカドヘリン機能の抑制により、VEGFのupregulationが誘導され血管新生が増強し、腫瘍細胞の転移、増殖が促進されることが推測された。 5)可溶性E-カドヘリンの測定 頭頚部癌患者の血清中には、健常人、良性疾患患者に比較して、可溶性E-カドヘリンが高値を示し、治療反応例では、血清可溶性E-カドヘリンは減少した。しかし、治療後に高値を示した症例は遠隔転移が多く、予後不良であった。すなわち血清中可溶性E-カドヘリンは腫瘍の悪性度、遠隔転移を知る上で重要なパラメーターとなる可能性が示された。
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