研究概要 |
昨年度に引き続いてラットを用いて in vivo modelにおける神経細胞死、あるいは網膜神経節細胞死について検討した。本研究の最終目標は、緑内障における網膜神経節細胞の細胞死のメカニズムを明らかにし、実験的遺伝子治療の途を開くことであるが、本年度までは網膜における神経細胞死そのものを実験的に検討することが主眼となっている。現在、緑内障モデルの作成を行っているが、このモデルについての報告は来年を予定している。 網膜神経細胞死についてこれまで明らかになった事柄は、(1)網膜虚血再潅流障害における神経細胞死には細胞周期関連遺伝子の発現が関与していること(Kuroiwa,Yoshimura et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci 1999;40:528-533)(2)網膜神経細胞死にはcaspaseが大きな役割を果たしていること(Katai and Yoshimura,Invest Ophthalmol Vis Sci.1999;40:2697-2705)(3)網膜虚血再潅流障害においてはnitric oxide synthase(NOS)とりわけiNOSが重要であるがcNOSが血流再開の維持に重要であること(Hangai,Yoshimura et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci 1999;40:450-458)(4)網膜神経節細胞の細胞死においてBDNFは細胞死を抑制するがその作用機序はc-Jun発現にはindependentなcaspase-2のupregulationの抑制であること(Kurokawa,Yoshimura et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci 1999;40:528-533)に要約される。
|