研究課題/領域番号 |
10470362
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
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研究分担者 |
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80252443)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 講師 (50194717)
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キーワード | 神経防御 / 緑内障 / TGFβ_2 / 房水 / プロテオグリカン / 線維柱帯細胞 / サル緑内障モデル眼 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
近年、緑内障神経節細胞死がアポトーシスによることが解明され、直接的に細胞死を防ぐという「神経防御」的緑内障治療や分子生物学の進歩により、緑内障における房水流出抵抗の異常上昇の原因が解明されつつある。本研究は緑内障分子機構を解明して、薬物投与・遺伝子導入などの手法で新しい治療概念をうち立てようとするものである。 緑内障患者の眼房水を採取して、緑内障房水流出抵抗を上昇させる因子と考えられている成長因子であるTGFβ2濃度をELISA法にて測定した。原発開放隅角緑内障患者の房水中TGFβ2濃度は、白内障患者のそれと比較して、高値であることがわかった。また、偽落屑症候群患者のTGFβ2は原発開放隅角緑内障患者よりも低値であり、緑内障病型によってTGFβ2濃度が異なることが判明した。また、線維柱帯培養細胞にTGFβ2を加えると、緑内障眼の房水流出抵抗を上昇させる因子と考えられている細胞外マトリックスであるプロテオグリカンの遺伝子発現上昇が認められた。線維柱帯培養細胞に生理活性因子であるIL-1を加えると、線維柱帯細胞の接着能や増殖能、遊走能に著しい低下が見られ、緑内障病的状態で見られる房水中の生理活性因子の上昇が、線維柱帯細胞の活性に影響を与えることが明らかになった。 また、サル緑内障モデル眼の網膜において、IL-1やGFAPなとの生理活性因子の発現が上昇していることが明らかになった。これらの生理活性因子が緑内障網膜にどのような影響を与えるのかを検討するために、網膜神経細胞に遺伝子導入を試みた。HVJリポソーム法により、動物網膜に遺伝子を効率よく導入できた。
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