研究課題/領域番号 |
10470378
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高田 春比古 東北大学, 歯学部, 教授 (30135743)
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研究分担者 |
根本 英二 東北大学, 歯学部, 助手 (40292221)
菅原 俊二 東北大学, 歯学部, 助手 (10241639)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | LPS / リポタイコ酸 / ペプチドグリカン / CD14 / Toll-like receptor / 歯肉線維芽細胞 / Streptococcus sanguis / Prevotella intermedia |
研究概要 |
細菌細胞壁表層には様々な生物学的活性を発揮する成分が局在している。特に、グラク陰性菌外膜の内毒素性リポ多糖(LPS)やグラム陽性菌表層のリポタイコ酸(LTA)は、多彩な活性が知られた両親媒性物質である。両物質はマクロファージ等の細胞膜上に発現する膜CD14(mCD14)を介して細胞を活性化するといわれている。最近、CD14分子と会合してLPS刺激のシグナルを細胞内に伝える分子が、明らかにされ、Toll-like receptor(TLR)と名付けられた。TLRは10種以上存在するといわれており、種々の菌体成分のそれぞれの認識にどのTLRが利用されているかが、大きな関心事となっている。研究成果は論文リストの通りであるが、主たるものは1.ヒト歯肉線維芽細胞にはmCD14を高発現する細胞と低発現の細胞が存在し、mCD14高発現歯肉線維芽細胞では、腸内細菌科のLPSや合成リピドA刺激に応じて、インターロイキン(IL)-8を産生する。2.口腔レンサ球菌Streptococcus sanguisのLTAはLPSアンタゴニストとして作用して歯肉線維芽細胞よりのIL-8誘導活性をほぼ完全に阻害する。一方、3.Enterococcus hiraeのLATは単球系細房THP-1細胞をCD14非依存的に活性化した。さらに4.歯周病関連細菌Prevotella intermediaのLPS画分は、mCD14を欠くヒト歯髄細胞をsoluble CD14依存的に活性化するが、この活性化には転写因子AP-1が係わっていた。他方、5.同LPS画分のヒト歯肉線維芽細胞に対するIL-8産生誘導活性には転写因子NF-kBが係わっている。なお、TLR関連の成果として、6.竹内(阪大微研)らが作成したTLR2およびTLR4遺伝子ノックアウトマウスを供試して、LPSとLTAはTLR4を利用しているのに対して、ペプチドグリカン等はTLR2を利用していることを証明した。 今後、さらに多くの菌体成分のTLR usageを解明して、益々注目を集める自然免疫の研究に資するとともに、歯周組織における菌体成分認識機構の分布・動態と歯周病発症との係わりをさらに追求したいと考えている。
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