研究課題/領域番号 |
10470379
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
依田 浩子 (米持 浩子) 新潟大学, 歯学部, 助手 (60293213)
木村 信 新潟大学, 歯学部, 助手 (80251825)
程 くん 新潟大学, 歯学部, 助手 (40207460)
織田 公光 新潟大学, 歯学部, 教授 (10122681)
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キーワード | 細胞外基質 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / ファイブロクネクチン / インテグリン / 腺様嚢胞癌 / in-situハイブリダイゼーション / ACC3 / 選択的スプライシング |
研究概要 |
前年度までに、ヒト口腔癌由来細胞の産生するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)およびファイブロネクチン(FN)およびインテグリン(INT)の選択的スプライシングならびに糖鎖付加様式が核細胞に特有で、それらの細胞の生物学的特性に反映している可能性を示唆した。そこで、本年度は、各口腔腫瘍におけるHSPGならびにFN遺伝子の特定領域の発現を組織学的に検索し、実質細胞と間質細胞のあいだでどのような相違があるかを検討した。すなわち、口腔粘膜扁平上皮癌、唾液腺腺様嚢胞癌、唾液腺多形性腺腫、歯冠周囲過誤腫、さらに対照として唾液腺炎、顎骨嚢胞の各外科材料のフォルマリン固定パラフィン連続切片を作製し、In-situハイブリダイゼーション(ISH)をおこなった。また、外科摘出新鮮材料よりRNAを抽出して、HSPG遺伝子発現を検定した。さらに、ヒトHSPGコア蛋白質遺伝子の全領域をカバーするプライマーを設計して、ACC3細胞についてRT-PCR増幅をおこない、選択的スプライシング領域を検出するためにスクリーニングをおこなった。 この結果、HSPGおよびFNは腫瘍実質細胞のみならず間質線維芽細胞にも広範に発現していることが判明した。扁平上皮癌と腺様嚢胞癌では、とくにFNのED-B領域は実質細胞に、ED-A領域は間質線維芽細胞にそれぞれ特異的に発現していた。腺様嚢胞癌の実質胞巣では小型導管様構造構成細胞にHSPGならびにFNのED-B領域の発現が顕著で大型偽嚢胞構成細胞では減弱していた。また、浸潤性増殖をしめす小型索状胞巣は例外なくHSPG発現が高度であった。口腔領域の過誤種では、HSPGおよびFNの局在パタンから真の腫瘍と鑑別できることが示唆された。炎症性病変では、間質あるいは肉芽組織線維芽細胞とともに再生導管上皮ならびに嚢胞被覆上皮にHSPGの高発現が顕著であった。またACC3細胞のRNAについてHSPGコア蛋白質のRT-PCRによって、ドメインIIIならびにドメインIVに選択的にスプライシングされる領域が含まれている可能性が示唆された。以上の腫瘍についてp53遺伝子のエクソン5-7の領域で塩基配列を検索したところ、腫瘍種特異的な突然変異がみいだされ、細胞外基質合成パタンとの関連も示唆された。 以上の結果から、腫瘍実質の成長とこれにともなって誘導される間質の双方にHSPGおよびFNの発現が重要であること、とくに実質胞巣の形態形成に主導的役割をはたしていること、腫瘍細胞の浸潤性性格にこれらの分子の高発現が伴っていることなどが明らかで、これらの分子を介した細胞間クロストーク様式が腫瘍の生物学的性格を規定している可能性が示唆された。
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