研究課題/領域番号 |
10470380
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗栖 浩二郎 大阪大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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研究分担者 |
田畑 純 大阪大学, 歯学部, 助手 (20243248)
岩本 容泰 大阪大学, 歯学部, 講師 (30223431)
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
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キーワード | 歯胚 / ソニックヘッジホッグ / 器官培養 / マウス / 形態形成 / 発生 / 組織分化 / アンチセンスオリゴDNA |
研究概要 |
Sonic hedgehog(Shh)は、四肢、脊髄など様々な器官の形態形成の制御に関与することが示唆されている。さらに、Shhの受容体としてpalched(Ptc)が着目され、さらに、smoothened(Smo)がPtcとヘテロ2量体を形成して細胞内のシグナル伝達に関わることが明らかにされた。最近、Shh遺伝子が歯胚のエナメル器に発現することが示された。しかし、Shhが歯の形態形成を制御していることを直接的に証明した研究はこれまでにない。本研究では、歯胚の組織発生におけるShhの役割を解明することを目的としているが、本年度は以下の諸点を明かにした。1)第1臼歯では、ShhタンパクはE12.5の初期歯胚の上皮に最初の発現し、その後順次エナメル結節、内エナメル上皮、エナメル芽細胞に分布した。2)Shhの遺伝子はそのタンパクとほぼ一致して発現の分布が見られた。3)E14の帽状期の歯胚を14日間Shhに対するアンチセンスで処理した培養歯胚は、無処理またはセンスで処理した歯胚に比べてサイズが著しく小さく、Shhとともに、PtcやSmoの遺伝子発現が抑制されていた。4)アンチセンスで4日間処理した培養歯胚は、組織学的に歯胚の形態をとどめず、歯胚内に空包が形成され、内エナメル上皮、中間層は不明瞭で、エナメル芽細胞、象牙芽細胞なども分化もみられなかった。5)培養9日目よりアンチセンスで処理した歯胚では、象牙質の形成に異常がみられた。以上の所見は、Shhが歯胚の組織分化において極めて重要な役割を果たしていることを示す。
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