研究概要 |
シェーグレン症候群(Sjogren's synrome,SS)は唾液腺、涙腺の組織破壊を主徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。本症の病体系性の機序は未だに明かではないが最近,SS組織特異的自己抗原が120-kDのα-fodrinであると言う報告がなされ、自己免疫疾患であるSSの発症、病理に深く関与している可能性が考えられている。しかしながら、120-kD α-fodrin自体が生成される機構については殆ど明らかにされていない。一方、従来より本疾患においてEpsten-Barrウイルス(EBV)の著しい活性化が認められることが知られている。本研究は、これらの現象に着目して、EBV感染が120-kD α-fodrin産生を誘導するかについて検討を行った。その結果、本研究に用いたSS患者血清中には、EBVの再活性化の際に検出されるZEBRA抗原に対する抗体およびα-fodrinに対する抗体が存在することがイムノブロット法により確認された。また、EBVの活性化を誘導すると、細胞アポトーシスが惹起され、それに伴って120-kD α-fodrinの発現が認められた。加えて、120-kD α-fodrinの発現は、アポトーシス関連プロテアーゼであるカスパーゼのインヒビターを添加することにより抑制された。これらのことから、自己抗原である120-kD α-fodrinの形成機序の一つにEBVの活性化が示唆された。
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