研究概要 |
1. 口腔癌におけるEpidermal growth factor receptor(EGFR)遺伝子のmRNAレベルでの変異の検出について: ヒト口腔癌細胞株SCC15,25,66および正常角化細胞OKB2,OKF4を用いた変異の検出により3つの口腔癌細胞株に共通する2ヵ所のpoint mutationをEGFRの膜貫通領域周囲の部位に認めたが、そのbase changeはアミノ酸の変化は伴わないsilent mutationであった。しかしながらそれによりBsrIおよびPstIなどの制限酵素切断による認識配列を変えるため、診断学的に有効なbase changeである可能性が残されており、さらなる口腔癌細胞株数種と外科手術切除材料を加えて検討中である。また約2kbのdeletion mutationをもった約1.4kbのEGFR mRNAをSCC15,25,66より共通に見い出し、塩基配列を調べたところ膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼドメインを欠いた新しいタイプの変異である可能性が示唆され、手術材料などを用いてその存在を確認、検討中である。 2. 口腔癌抑制遺伝子候補doc-1の蛋白レベルでの機能解析: doc-1遺伝子産物(pDoc-1)の機能解析を行う手始めとして、大腸菌に発現させたGST-Doc-1融合蛋白を抗原としてモノクローナル抗体の作成を進めている。これまでにpDoc-1蛋白の異なる部位を認識する抗体を産生する数十種類のハイブリドーマのクローンがとれた。これらのうち免疫沈降に有効な抗体を産生するクローンを選別中である。またGST一Doc-1融合蛋白とtotal cell lysateを用いたpull down assayを2次元電気泳動を組み合わせて分析することを検討中であるが、それぞれのassay系のbufferの違いを克服するための予備実験を行っているところである。
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