研究概要 |
1)口腔癌におけるEGFR遺伝子の異常発現について:ヒト口腔癌細胞株および正常角化培養細胞を用いた検索において、癌細胞株においてのみ遺伝子配列の2073番目の塩基がAからTに変異するpoint mutationにより、制限酵素BsrIのあらたな切断部位をうみだし、これを利用した癌の診断の可能性について検討していたが、手術材料を用いた検索においても同じ結果が得られた。一方、癌細胞株におけるEGFRの膜貫通ドメインを欠いた約1.4kbのdeletion mutation EGFR遺伝子の存在についても示唆されていたが、抗EGFR抗体を用いた蛋白レベルでの検索により、癌細胞のみならず、正常の細胞にも発現していることがわかった。以上の詳細については論文において報告した(Cancer Res 59,4142,1999)。 2)口腔癌抑制遺伝子候補doc-1の蛋白レベルでの機能検索については、以前より予備的な実験において、pDoc-1蛋白がDNA polymerase a/primaseと相互作用することで、DNA合成および細胞増殖を抑制する作用をもつ可能性が示唆されていたが、さらに詳細な追加実験を行い、論文においてその詳細を発表した(FASEB J,2000(in press))。
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