研究課題/領域番号 |
10470387
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 正 東北大学, 歯学部, 教授 (50005021)
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研究分担者 |
岩見 憙道 東北大学, 歯学部, 助手 (60005030)
高橋 信博 東北大学, 歯学部, 助教授 (60183852)
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キーワード | Streptococcus mutans / 糖代謝 / 糖アルコール代謝 / ソルビトール / キシリトール / 酸素 / 代謝阻害 |
研究概要 |
我々はすでに空気曝露Sterptococcus mutansのグルコース代謝がソルビトールにより阻害されることを報告した(1995)。今年度はこの阻害機構を明らかにした。また、キシリトールによる阻害の可能性 についても検討した。高度嫌気条件でソルビトールを炭素源として培養したS.mutansを5分間空気に 曝し、再び嫌気条件に戻した。この菌の懸濁液をあらかじめソルビトールあるいはキシリトールと共に インキュベート後、グルコースを添加し、酸産生、解糖反応中間体を経時的に測定し、次の結果を得た。 1)菌懸濁液にグルコースを添加すると酸産生が始まった。グルコース添加前は解糖反応下流部の中間体レベルが高く、添加0.5-1分後にはこれが減少し、上流部の中間体が増加した。 2)菌懸濁液にあらかじめキシリトールを加えておいても酸の産生は起こらなかった。これにグルコースを添加するとグルコースのみの添加時と同速度で酸産生が起こった。 3)一方、菌懸濁液にソルビトールを加えても酸産生は起こらず、中間体はすべてほぼ消失した。これにグルコースを加えても、2-3分間は酸産生は起こらず、その後ゆっくりと酸産生が始まった。中間体レベルはグルコース添加0.5-1分後では増加せず、約2分後に出現した。 これらの結果から、1)空気曝露S.mutansにあらかじめキシリトールを添加してもグルコース代謝 に影響を与えないこと、2)ソルビトールを添加しておくとホスホエノールピルビン酸:グルコースホスホトランスフェラーゼ系によるグルコース取込に必要な中間体が消失するため、取込が抑制されることが考えられた。
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