本研究の最終目的はう蝕予防用のヒトに安全な経鼻免疫用ペプチドワクチンを開発することである。そのために、本研究課題では、これまで行ってきた我々の研究成果を基に、う蝕ワクチン用として特定した阻害抗体誘導能を持つ最小単位のユニットペプチド(TYEAALKQYEADL)を基本とし、そのアミノ酸配列や構造に意図的に手を加えることにより、ペプチドワクチンの弱点を一つ一つ解決し、実用可能な粘膜免疫用のペプチド抗原のプロトタイプを完成させた。 このプロトタイプは、マウスにおいてではあるが、腹腔免疫において目的とするワクチン抗体を誘導でき、経鼻免疫においてもアジュバント(コレラトキシンなど)非存在下でもワクチン抗体を効率よく誘導している。 以上で、当該研究課題の目的であったマウスにおける実験を全て終了した。今後、上記ヒト平滑面う蝕予防用経鼻ペプチドワクチンのワクチン抗体誘導能を、ヒトへの応用の前段階として、ヒトとMHCクラスIIの遺伝子型を一部共有するチンパンジィーの経鼻免疫実験により実証したい。
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