研究課題/領域番号 |
10470401
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 登喜雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (70031995)
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研究分担者 |
木村 剛 高知医科大学, 医学部・付属病院, 助手 (10294836)
植田 栄作 高知医科大学, 医学部・付属病院, 助手 (10203431)
山本 哲也 高知医科大学, 医学部・付属病院, 講師 (00200824)
米田 和典 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90182849)
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キーワード | アポトーシス誘導 / 分化誘導 / p53 / p21 / bcl-2ファミリー / cdk |
研究概要 |
γ線、5-FU、ペプロマイシンおよび非特異的免疫療法による集学的治療を行うと共に、基礎的に扁平上皮癌細胞の分化・アポトーシス誘導を検討し、以下の結果を得た。 1. 集学的治療により、口腔癌の約40%にCRを得、PRにおいても多数において縮小手術が可能で、患者のQOLが良好に保存された。 2. 癌細胞はγ線、ペプロマイシンではG2/M期に、5-FUではS期に集積し、アポトーシスが誘導された。しかしながら、これらによる分化誘導作用は非常に弱く、分化誘導剤の1つであるベスナリノンによってG1期停止に伴い分化が誘導された。 3. cyclin D/Cdk4、cyclin E/Cdk2複合体のキナーゼ活性とG1 arrestとは逆相関していた。 4. 分化およびアポトーシス誘導はp53に非依存性であり、みる限り、bcl-2ファミリー蛋白の発現とも明確な関係は見出せなかった。 5. p21はG1期停止ー分化誘導には必須であったが、p21 sense遺伝子をトランスフェクトし、p21を強発現しても、分化・アポトーシスは大きくは増強されなかった。 結果より、集学的治療によって良好な口腔癌の制御が得られたが、その根拠として集学的治療による分化・アポトーシス誘導が考えられた。具体的には、γ線および5-FU、ペプロマイシンによる扁平上皮癌細胞のアポトーシス誘導はS期およびG2/M期よりp53非依存性に誘導されることが明らかとなった。その際、bcl-2ファミリー蛋白による制御を明確に証明し得なかったが、その理由として、bcl-2蛋白による制御を凌駕する因子が関与し、アポトーシスが誘導されている可能性が示唆される。その点を、今後、追求する予定である。
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