研究課題/領域番号 |
10470402
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
前田 伸子 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148067)
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研究分担者 |
岡本 公彰 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30116008)
金澤 眞雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (10147184)
西原 達次 九州歯科大学, 教授 (80192251)
高野 宏二 鶴見大学, 歯学部, 助手 (60288123)
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キーワード | 糖尿病 / 口腔常在微生物叢 / 日和見感染 / 易感染性宿主 / ダウン症 / Candida / 歯周疾患 |
研究概要 |
1:糖尿病-肥満と歯周疾患-咀嚼能の関係の関する調査 糖尿病患者(750名)、肥満患者(100名)、対象健常者(130名)に対して、総歯数、アタッチメントロス数、健全歯根数、咀嚼指数を調査した。糖尿病患者では総歯数、アタッチメントロス数、健全歯根数、咀嚼指数ともに低下し、他の群との間に統計学的に有意な差があった。また、糖尿病患者の中で網膜症、腎症、神経障害などの合併症を認める群では合併症のない群よりも総歯数が有意に少なく、咀嚼指数も低下していたが、その他の項目は差が見られなかった。以上の結果から、糖尿病患者では歯周疾患の合併が多く、糖尿病特有の合併症を伴うとさらに歯周疾患の合併が多くなり、咀嚼能も低下することが示唆された。 2:ダウン症者の口腔常在微生物と口腔環境に関する調査 ダウン症者(DW)、ダウン症以外の知的障害者(MR)群および健常者群の口腔常在微生物叢を検査し、3群間で比較した。齲蝕に関連する項目;DW群はMRおよび健常者群と比べて、齲蝕原生細菌(lactobacilliのCFU、mutans streptococciのclass分類)数が多かったが、一方で唾液中のsIgA濃度も3群中で最も高値を示し、結果的にはDF歯率は3群ともほぼ同じ値を示した。歯周疾患に関連する項目;歯周組織の炎症程度を見るために行ったprobing depth(PD)、gingical index(GI)、plaque index(PlI)、bleeding on probingなどの臨床的パラメーターは健常者群に比べてDW、MR群ともに有意に高値を示し、同様に歯肉ポケット内の総菌数、歯周病関連菌(黒色コロニー形成性グラム陰性嫌気性桿菌群)数も有意に多かった。日和見感染症にに関連する項目;カンジダ症の原因微生物であるCandida albicansはDW群で最も多数分離された。以上の結果から、ダウン症者はカンジダが優勢なきわめて特徴的な口腔常在微生物叢を持ち、歯周疾患とカンジダ症のリスクが高いことが示された。
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