研究分担者 |
吉田 佳子 徳島大学, 歯学部, 教務職員 (20243727)
藤中 恵子 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (00294710)
尾崎 和美 徳島大学, 歯学部, 助手 (90214121)
中西 正 徳島大学, 歯学部, 助手 (00217770)
中江 英明 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (30227730)
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研究概要 |
ヒト感染根管における根管系への細菌侵襲の実態を明らかにすることを目的に、感染根管における歯根部象牙質への細菌の侵襲を免疫組織学的に検討した。歯髄死と判定され且つ臨床上抜歯の適応と診断された40歯を被験歯とし、16種の口腔内細菌に対する抗血清を用いて歯根部の象牙細管に侵入している細菌を同定すると共にその局在を検索した。その結果、40歯中28歯(78%)の歯根部象牙細管中に細菌の侵入が認められ、特にF.nucleatum,E.alactolyticum,L.casei,P.microsの検出頻度が高かった。一方、C.rectus,A.viscosus,T.denticolaはほとんど検出されなかった。C.rectus.A.viscosusは主根管内には高頻度で認められたことより、歯根部象牙細管に侵入しやすい細菌と侵入しにくい細菌の存在することが明らかとなった。また根部象牙細管の歯冠側1βは根尖側1βに比べ細菌の検出率が高く、統計学的に有意差が認められた(p<0.05,Mann-Whiteny U test)。これは根尖側の象牙細管より歯冠側の象牙細管の方が細菌が侵入しやすいことを示している。さらに、細菌は象牙細管の奥深くまで侵入しており、場合によってはセメント象牙境付近にまで達することが明らかとなった。通常の根管拡大処置を施した抜去歯で同様に細菌を検索をしたところ、65%の歯の歯根部象牙質に細菌の残留が認められた。この事実は通常の根管拡大処置では歯根部象牙細管に侵入した細菌を完全には排除できないことを示しており、これらの残存した細菌が根管治療で治癒しない、いわゆる難治症例の原因になっている可能性が示された。
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