研究概要 |
セメント質成分が歯周組織創傷治癒,再生に重要な役割を演じることが確認されている。すなわち、これらセメント質含有物質は、未分化間葉細胞をセメント芽細胞、骨芽細胞、歯根膜細胞に分化させ、新生セメント質、新生歯根膜、新生歯槽骨を同時に形成させる。本研究は、セメント含有蛋白のリコンビナント化を成就させるため、局所再生活性を高めるセメント含有蛋白分離、精製が行われた。その結果、我々は数種の新規のセメント質由来蛋白を発見した。(1)牛プレセメンタムPBS(-)抽出物をDEAE-HPLCで精製を行い、66kDaのセメント質由来走化物質を見い出した。(2)牛プレセメンタムPBS(-)抽出物を逆相カラムで精製し、他のケモカインと異なる8kDaの新規の蛋白を見い出した。(3)牛プレセメンタムPBS(-)抽出物をDEAE-HPLCで精製。走化活性の高い非吸着成分をCM-HPLC、ゲル濾過し、そのN末端アミノ酸配列解析により、39.7kDaの新規の蛋白を見い出した。加えて、γ線照射セメント質と歯肉繊維芽細胞との共培養液をRT-PCRを用いてOPG/OCIFmRNA発現を調べた。その結果、0PG/OCIFmRNAの発現は,γ線未照射セメント質よりγ線照射セメント質の方が低かった。このことは、健全セメント質に含まれるある物質が根面上への骨芽細胞の接着、分化を抑止している可能性を示唆している。
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