研究概要 |
本研究では軟骨細胞にフレクサーセルを用いて周期的伸展負荷を加え,メカニカルストレスが軟骨基質の合成,あるいは軟骨破壊因子および成長因子の遺伝子発現に及ぼす影響について検討した。 1. HCS-2/8細胞において15kPaおよび5kPaのどちらの負荷でもDNA合成能,タンパク合成能およびコラーゲン合成能は高頻度のストレスによって有意に低下した。 2. HCS-2/8細胞において細胞層のウロン酸量はどちらの負荷でも高頻度のストレスによって有意に減少したが。さらに,HCS-2/8細胞に15kPaの高頻度のストレスを加えると,プロデオグリカン合成は経時的に減少したのに対し,低頻度のストレスでは,負荷後初期にプロテオグリカン合成がわずかに減少したがその後はほとんど変化しなかった。 3. HCS-2/8細胞において経時的に硫酸化プロテオグリカン量を測定すると,培養上清中にMMPインヒビターを添加すると,ストレス負荷後の[^<35>S]硫酸化プロテオグリカンの減少が抑制された。 4. 軟骨破壊因子の遺伝子発現におよぼす影響 IL-1,MMP-2mRNAについては,どちらの負荷群においても負荷後早期に一時的な増加しか認められなかったが,MMP-9mRNAの発現は,15kPa負荷群では24時間まで増加し続けた。 5. 5kPa負荷群ではMMP-2,MMP-9の産生はともにストレスの影響をほとんど受けなかったが,15kPa負荷群では潜在型および活性型MMP-9さらには潜在型MMP-2の産生が対照群と比較して明らかに増加した。 6. HCS-2/8細胞に15kPaのストレスを高頻度の条件で負荷を加えた場合,NO産生は有意に上昇した。
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