研究分担者 |
伊東 孝介 岡山大学, 歯学部, 助手 (50294418)
鳥井 康弘 岡山大学, 歯学部, 助教授 (10188831)
田仲 持郎 岡山大学, 歯学部, 助手 (40171764)
入江 正郎 岡山大学, 歯学部, 助手 (90105594)
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
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研究概要 |
緒言:近年の歯科接着技法は,被着面処理および接着材等の進歩に伴い,う蝕予防から補綴修復に至る広範囲で応用されている。しかし,口腔内の過酷な条件下での接着は耐久性等に難点があり,その主原因が象牙質とレジンとの界面層(ハイブリッド層)の生成状態とその物性に起因している。そこで,象牙質脱灰層のコラーゲン線維間に合成高分子あるいはアパタイト,さらにはこの両者を導入させて人工的に象牙組織に近似した構造を再建させ,形成されたハイブリッド層の分析を検討した。 材料および方法: 1) 被着体は,ウシ前歯の象牙質を研削によって仕上げ(#600)した後に,40%リン酸30秒間処理した。 2) 機能性モノマーは,アミノ酸にMAClを付加してM-グリシン,M-アミノブチリック酸,M-アミノカプロイック酸,M-ヒドロキシプロリンおよびM-グルタミン酸を合成し,IR,NMRおよび元素分析してその分子構造を確認して実験に供した。 3) 象牙質接着システムは,合成した各種化合物を蒸留水に5mol%溶解してプライマーを調製し,これを脱灰象牙質に作用した後に市販ボンディング材,コンポジッレジンを充填した。 4) ハイブリッド層の物性評価は,NMRによる緩和時間,SEMによる厚みおよび接着強さを測定した。 結果および考察:アミノ酸メタクリレートのアミド基およびカルボキシル基は象牙質コラーゲンと相互作用を起こし,その相互作用の強さはメチレン鎖長が長くなるにつれて増大した。ハイリッド層の厚みは,プライマーの種類によって異なるが,プライマーによるコラーゲン層の回復率に比例してそれと同程度のハイブリッド層が生成された。接着強さは,ブライマー未使用時の5MPaに対し,M-Gly,M-Glμ,M-BμおよびM-Caで13-14MPaの高い値を示した。しかし,M-HProプライマーは6MPaの値で,これは,HProの-OHと-COOHの位置関係に関係していると考えている。
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