研究課題/領域番号 |
10470416
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 一臣 岡山大学, 歯学部, 教授 (30050058)
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研究分担者 |
鳥井 康弘 岡山大学, 歯学部, 助教授 (10188831)
入江 正郎 岡山大学, 歯学部, 助手 (90105594)
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
西山 典宏 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (90112953)
伊東 孝介 岡山大学, 歯学部, 助手 (50294418)
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キーワード | 歯質 / 接着 / コンポジットレジン / 被着面処理 / コラーゲン / アパタイト / ハイブリッド / 機能性モノマー |
研究概要 |
緒言:歯科接着技法は、被着面処理法および機能性高分子を主体とした接着材等の進歩に伴なってう蝕予防から補綴修復にいたる広域で応用されている。しかし、口腔の苛酷な条件下での接着は、辺縁封鎖性、接着強さおよびその耐久性に難点があり、この主原因が歯質と接着材(レジン)との界面層の生成、構造および物性に問題がある。そこで、界面層の確実な生成を行うためにこの層の構成成分であるアパタイト、コラーゲンと高い相互作用をするプライマーの開発およびその性能の検討を行った。 材料および方法:1)プライマーの調製は、アミノ酸メタクリレート(NMGly,NMBu,NAAsp,NMVa,NMCa etc.)を合成して各種濃度比で蒸留水に溶解した。2)プライマーと象牙質コラーゲンとの相互作用は、NMRにおける緩和時間(T1)測定から求めた。3)接着強さの測定は、ヒト象牙質および牛象牙質をシリコンカーバイトペイパー(#600)にて研削した面に、試作プライマーを作用させた後に市販の燐酸エステル系ボンディング材を塗布し、コンポジットレジンを充填して試験体とした。4)接着界面および被着面の構造解析は、SEMおよびTEMを用いて行った。 結果および考察:アミノ酸メタクリレート水溶液から成るプライマーとコラーゲンとの相互作用は、アミノ酸の種類によって異なり、Va>Bu>Ca>Ala>Glyの順に強く結合していた。一方、40%リン酸処理した象牙質に各種プライマーを作用させた後のボンデイング材の接着強さは、9〜16Mpaの値を示し、コラーゲンとプライマーとの相互作用の結果と相関性があった。他方、接着界面の象牙質側には、コラーゲンとレジン重合体から成るハイブリット層が4〜6μmの幅で生成していた。以上の結果から、接着には被着体と強い相互作用をするプライマーが必須である。
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