| 研究概要 |
最近,我々は,義歯などの高分子材料には,カンジダアルビカンスをはじめ,数種のカンジダ属が容易に定着し高頻度に分離される.義歯装着者の場合,このようなカンジダの床下粘膜における増殖によって,義歯性口内炎が引き起こされる.さらに,汚れた義歯の装着によって,隣在歯あるいは鉤歯のカリエスが引き起こされ,その後のQOLの低下につながってしまう.これだけではなく,デンチャープラーク微生物を持続的に誤嚥あるいは誤飲することによって嚥下性肺炎や腸管内感染が引き起こされた例が報告されており,高齢者は予期せぬ感染症の危険性に曝されている.しかしながら,現在までカンジダと歯表面に形成されたプラーク中の微生物との相互作用は明らかにされていない。したがって,本実験ではカンジダのプラーク細菌との共付着能を,齲蝕原性があるとされるストレプトコッカスミュータンス、ストレプトコッカスサングイスやアクチノマイセス、ラクトバチルスとの共付着を検討した結果,以下の知見を得た.
1. カンジダはストレプトコッカスミュータンスやストレプトコッカスサングイスと共付着をおこすことが可能である.
2. カンジダのストレプトコッカスミュータンスやストレプトコッカスサングイスとの共付着は、菌糸形成の影響を受けない。
3. カンジダのアクチノマイセス、ラクトバチルスとの共付着は、カンジダの前培養によって影響され、グルコースを含む培地で培養した場合は共付着がおこらないが、ガラクトースを添加した培地で培養した場合には、著明な付着がひき起こされる。
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