研究概要 |
1.接着性レジンの接着効果を高めるクラウン支台歯表面の処理に関する検討 メタルコアを装着した支台歯のメタル部分の表面処理に用いる金属接着プライマーが,歯質と接着性レジンとの接着性に及ぼす影響について接着耐久試験を行った.また,歯質の表面処理に用いる酸エッチング材やセルフエッチングプライマーがメタルと接着性レジンとの接着性に及ぼす影響についても試験を行い,接着阻害を及ぼさずに接着性レジンの接着効果を発揮させる支台歯表面処理の方法について検討した.その結果,接着性レジンと歯質および金属との接着強さは,表面処理材の種類や表面処理の順序によって大きな影響を受けることが明かとなった.とくに,4-META/MMA-TBBレジンを用いる接着システムにおいては,支台歯の金属部分が象牙質処理材で処理されるとメタルプライマーの効果が有意に低下した.したがって,歯質と金属が混在する支台歯に接着性レジンを用いて補綴物を装着する際には,歯質および金属の表面処理を確実に行うのみならず,その組合わせや操作手順への配慮も必要であることが示された.同時に,金属と歯質を同時に表面処理可能な接着システムの必要性が示唆された. 2.接着ブリッジの接着強さを向上させる表面処理法の検討 硬質レジン歯をポンティックとして用いる接着ブリッジ(接着ポンティック・ブリッジ)の接着耐久性を高める方法を見出す目的で,支台歯と硬質レジン歯の接着部分の表面処理方法と補強方法について検討した.その結果,接着補強用ファイバーや支台築造用メタルポストで接着部位を補強することにより,本ブリッジの接着耐久性が著しく向上することが明かになった.また,本ブリッジの臨床評価においても,これらの優れた補強効果が確認された.
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