研究概要 |
さきにわれわれは、桿状体のBeta Quartz Glass-Ceramicメガフィラーをコンポジットレジン中に填入することによって、コンポジットレジンの物性が向上することを明らかにした。しかし、桿状体の大粒径メガフィラーを窩洞に垂直に填入し、研磨を施した修復面には必ずコンポジットレジン相とメガフィラーとの界面を生じ、脱落や破壊の原因となることを臨床的研究で確認した。これを解決するには、桿状体に代えてφlmmの球状セラミック・メガフィラーを填入し、メガフィラーが修復面に露出させないように填入することを考案した。本年度はまず、コンポッジトレジン中への球状セラミック・メガフィラーの填入が熱膨張性に与える影響を検討した。種類の異なる3種のコンポジットレジン中にアルミナ・セラミックおよびジルコニア・セラミックの球状メガフィラー(φ1mm)を0%、10%、30%および50%填入した円柱試験片(φ4mmxlOmm)を各3個作成し、熱機械分析装置(理学電機)にて熱膨張係数を測定した。その結果、高密度充填型のClearfil AP-Xでは、メガフィラーを填入しない場合36.7であり、アルミナ50%填入で22.4、ジルコニア50%で14,2にまで低下した。SFRタイプのPalfique Esteliteでは、メガフィラー未填入で64.2であったのに対し、アルミナ50%で62.1、ジルコニア50%で47.1となった。いずれも球状セラミック・メガフィラーの充填率が上がるのに伴って熱膨張係数は低くなったが、ジルコニア・セラミックのほうがより効果的であった。以上の結果から、球状セラミック・メガフィラーの填入は、コンポジットレジンの物理的性質を改善することがあきらかとなった。
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