我々は、Bowenの提唱した桿状体のBeta Quartz Glass-Ceramicメガフィラーをコンポジットレジンの中に填入することによりコンポジットレジンの物性が向上することを明らかにしてきた。しかし、臨床応用した際、桿状体の大粒径メガフィラーを窩洞に垂直に施した修復面は必ずコンポジットレジン相とメガフィラーとの界面を生じ脱落や破壊の原因となることを臨床的に確認した。これを解決するために、桿状体に代わって直径1mmの球状セラミック・メガフィラーを填入し、メガフィラーが修復面に露出させない方法で填入することを考案し、光沢度の測定、並びに臨床応用し、その評価を行った。 光沢度については、桿状体メガフィラーを填入した面は、メガフィラーとコンポジットレジンが同一表面にあるため、研磨面がスムーズな面になりにくく光沢度は、コンポジットレジン単体、球状セラミックフィラーを填入した面より低い値を示した。球状セラミックフィラーは、表面に出さない様に填入するため、コンポジットレジン単体と同等の光沢度を示した。臨床応用する際には、窩洞は1.5mm以上の深さに切削すれば、填入されたコンポジットレジンが表面に突出することもなく、問題はないと思われる。また、球状セラミックフィラーを填入する際には、最初に窩底に薄く一層コンポジットレジンを敷いておきその後一粒ずつ窩洞の中に填入するのではなく、充填器にコンポジットレジン泥をつけておき、そのコンポジットレジン泥に球状セラミックフィラーを軽く接触させれば一度に数粒接着するため容易に填塞が行える。 さらに最初に窩底に一層敷いてあるコンポジットレジンとも接着し、通法通りの充填と比較して時間的にも手間のかかる充填とはならず物性も向上し有効な充填手段であることが判明した。
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