研究概要 |
我々は、コンポジットレジンを臨床応用する際、桿状体のBeta Quartz Glass-Ceramicメガフィラーをコンポジットレジン中に填入することによりコンポジットレジンの物性が向上することを明らかにした。しかし、このメガフィラーはコンポジットレジン相とメガフィラーとの界面を生じ脱落や破壊の原因となることを臨床的研究で確認した。これを解決するため桿状体に代わるものとして直径1mmの球状セラミック・メガフィラーを填入し、メガフィラーが修復面に露出させないように填入することを考案した。球状セラミック・メガフィラーとしてアルミナとジルコニアの2種を用いて0,10,30,50%の充填率の試料を作製し熱膨張を測定した。その結果、全てのコンポジットレジンについて、アルミナ、ジルコニアともに0%の熱膨張係数よりも小さくなった。充填率が上がるにつれてアルミナ、ジルコニアともに熱膨張係数は減少し、50%が一番小さい値を示した。コンポジットレジン間で熱膨張係数に差は認められたが、アルミナとジルコニアを各充填率で比較するといずれもジルコニアの方が熱膨張係数が小さくジルコニアの方が熱膨張性には、大きな効果があることが判明した。光沢度の測定では、球状セラミック填入面は、コンポジットレジンと同一界面にあるのではなく、表面に出さないよう填入するため、コンポジットレジン単体の光沢度と同等であった。またこの球状セラミック・メガフィラーを臨床応用する際には、窩洞の深さを1.5mm以上にすれば問題はなく、窩洞填塞方法も一粒ずつ填入するのではなく、薄く窩底に一層コンポジットレジンを敷いておき、充填器にコンポジットレジン泥をつけておき軽く球状セラミックに接触させるだけで数粒ずつ採取でき容易に窩洞に填入できることが判明した。球状セラミックを用いた充填は、通法通りの充填と比較して時間的にも手間のかかる充填とはならず物性も向上し有効な手段であることが判明した。
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